所長ブログ「ケンさんが往く」

2023.02.08

外国の特許審査

現在、世界統一特許はありません。

統一特許とは一カ所の審査機関で審査され特許になったものは世界中で特許として成立する、というようなものです。

特許の審査は、欧州特許等は別として、原則として国毎に行なわれます。

 

国毎に審査が行なわれるのは原則ですが、弊所が取り扱った外国出願で、シンガポール(SG)、タイ(TH)、マレーシア(MY)、インドネシア(ID)は、日本で特許になっていれば、PPHのような制度を使うことで、そのまま特許にしてくれます。

一方、米国、中国、欧州、韓国等はPPHを使っても、結局自分のところの審査結果を重要視するので、すんなり特許にはなりません。

 

従来は各国毎に先行特許が調査されていたので、同一発明に対して米国、中国、欧州等で異なる先行特許文献が検索されて、米国と中国では特許になったが、欧州では特許にならなかった等の事例は普通でした。

しかし、今ではこれらの特許庁間では審査官が共通の審査資料をお互いに見ることができるので、各国で共通の先行特許文献が使われることも多くなりました。

 

それでも結局は各国で進歩性等の判断が異なるので、共通の先行特許文献に対しても、ある国では特許になり、他の国では特許にならない、ということは相変わらずあります。

私の感覚では、日本や米国、韓国はある程度納得できる差異が先行特許文献との間にあれば特許になり易く、欧州や中国は先行特許文献との間にかなり原理的な違いがないと特許にしない、という感じがあります。

 

まっ、しかし、いずれにても、日本出願をして早期審査をかけ、優先期間に間に合うように特許可否の判断をもらって、特許になったら外国出願を考えるのが良いだろうと思います。

東南アジアへ出願する場合はPPHが有効に使えますし、欧州や中国に対しても、日本で特許にならなかったら、これらの国で特許にするのは難しいと考えた方が良いからです。