所長ブログ「ケンさんが往く」

2023.06.24

特許明細書もAI(人工知能)が書く?

最近のAIの発達は目覚ましく、ChatGPTの出現で特許明細書の作成もそのうち取って代わられるかも。弁理士失業時代の到来、などと、時々仲間内で冗談交じりの話題になります。

 

以前のブログで、AIは人間を越えられないのでは、と結論づけはしたものの、技術は日進月歩、ひょっとして、なんてことになるかもしれません。

 

そこで、特許明細書を書く際の私の段取りを今一度振り返ってみました。

 

弊所のお客様は大きく分けて、大企業の研究所と、中小企業です。

 

大企業の研究員は研究発表を常にやっているので、発明提案書を書くのは上手です。

必要な図面や写真が揃えられているのはもちろん、起承転結のしっかりした説明文章が添えられています。発明内容についても特許部署が予め従来公報を検索して、少なくとも新規性はありそうだというものが出てきます。AIが特許明細書を書くとしたら、大企業の場合は一見比較的容易そうですね。

 

これに対して、私が特許明細書を書く場合には、一度発明提案書に記載されていることはチャラにして、生の技術を理解し(これが結構時間がかかる)、従来公報を参考にしつつ自分なりのストーリーで再構成します。その際に、特許請求の範囲の、もっとも広い請求項1は予め作成します。そしてもう一度提案書や特許部署のコメントを読んで、ストーリーや請求項1を小修整(必要であれば)します。そして特許明細書の作成にとりかかります。

 

中小企業の場合には、きちんとした発明提案書が出るのはまれです。図面さえもない場合があります。現場で図面の元になる写真を撮ったり、話を聞いたり、どうしても必要な場合は図面の作成だけはお願いしたり、そして技術内容が理解できた段階で、比較対象となる従来公報を検索したり、という作業が余分に必要です。この過程でストーリーや請求項1は出来上がっているので、特許明細書の作成にとりかかります。

 

こういうことがAIで将来やれるようになりますかねー。

私が生きている間は無理なような気がしますが(笑)。