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所長ブログ「ケンさんが往く」
2024.03.28
今回は和訳(外国語から日本語への翻訳)の問題です。
日本へは外国からも多数の特許出願がされます。
その殆どは英語から日本語への翻訳です。
時に酷い和訳が日本で特許になっていることがあり、これが無効審判やその審決取消訴訟の対象となっていることがあります。
最近酷い和訳の明細書の特許が、無効審判でも審決取消訴訟でも特許維持という結果になった事件をみました。
明細書を読んでも具体的なイメージが湧かないのですが、特許請求の範囲の文言はまあそれなりに和訳されていたので、審判でも訴訟でも明細書の不明部分は当業者が読めばこのように解釈されるべき、ということで、無効理由なしという結論になったものです。
文学書はそれなりに文学的素養のある翻訳者が原文の意を汲んで意訳しているために、殆ど違和感を感じることなく読み進められます。
これに対して特許の明細書は必ずしもその技術を十分理解している者が翻訳しているわけではなく(翻訳の時間・コストが限られている)、また、権利書の一部であるために、なるべく意訳を避けて原文に忠実に翻訳したいという意識が働くためか、不自然な日本語(?)となっている場合が多く、読み難いこと、この上ありません。
特許庁も裁判所も翻訳モノはおかしな日本語になるのはある程度許容しているようですが(そうじゃないと処理が進まない)、今回目にしたものは重要な部分の表現が曖昧であったので争いになったものです。
私にすれば、当業者のレベルで読めば当然にこのように解釈される、と言われても、ほんまかいな、という感じです。
翻訳者から回ってきた時点で重要なポイントは担当弁理士がチェックしておかないと、要らぬ費用と時間がかかる、という例でした。
ちなみに弊所は外国からの出願依頼は受けません。出願期限が迫っているものが多く、マンパワーが無いと、十分な検討が難しいからです。